『甘えたい日はそばにいて。』1巻 何もかも人と同じように作っておきながら、恋することだけは禁止されたアンドロイドの片想い

2 min
甘えたい日はそばにいて。1巻

前作『幸腹グラフィティ』が長期連載化し、アニメ化もされた川井マコトによるSF要素を含んだ恋愛もの。

「家族を失った人間が疑似家族を形成し、周囲の人間と関わりながら成長する」とまとめれば、『幸腹グラフィティ』と同じ方向性の作品と位置づけることもできる。ほんわか温かい絵柄でキャラクターを取り巻く寒々しい環境を描く点も共通。

本当は『幸腹グラフィティ』もこういう方向に進みたかったのかな? 結果的には途中から料理へのリアクション(顔芸)多めにしことが作品の間口を広げたように感じる。

『甘えたい日はそばにいて。』1巻 あらすじ

アンドロイドが限りなく人間に近づいた世界。お手伝いアンドロイドのひなげしは、両親を失った高校生小説家の楓の家で働いていた。

ひなげしは絶対に知られてはいけない秘密を抱えている。それは楓に片想いしていること。アンドロイドが人間に恋心を抱くことは許されない。もし恋愛感情などというものを持ったら、そのアンドロイドはセンターに回収され、全記憶を消去した後に別人格を再インストールされてしまう。

人間の身近で暮らし、その生活をサポートするため、ありとあらゆる面で人間と遜色ない「人間らしさ」を求められながら、恋愛感情を持つことだけは絶対に許されないアンドロイドたち。

この恋は、絶対に知られてはいけない。秘密を隠し通そうとするひなげしだったが、ある日「お前の気持ちはもうバレてるぞ。雇い主の人生を壊したくなければ今すぐ消えろ」と謎の脅迫電話が。

『甘えたい日はそばにいて。』1巻 感想

人間よりも人間らしく、喜怒哀楽を面に出しやすいアンドロイドが、恋心を表現することだけは抑圧されている。狙い過ぎだろ〜、反則だよ〜というくらい鉄板な設定。

ひなげしが人間っぽすぎてラブコメ日常パートではアンドロイドであることを忘れそうになる。これだけ人間と遜色ないと「アンドロイドである必要があるのか」と疑問を持つ向きもあろうが、これだけ人間と遜色なく造られてるのに人間との恋愛だけは「気持ち悪い」から忌避されるのが本作の主眼。よって、ひなげしがアンドロイドに見えないことはとても重要。

ひなげしの先輩アンドロイドは人間の都合に冷淡

1巻の段階ではキャラクターと世界観の紹介が主。そのなかでも謎の脅迫電話、楓に恋する幼なじみの少女とひなげしの交流、ある人物からの最後通牒で2巻への引きと気になる要素を盛り込んでいる。

川井マコトの絵は今回も登場人物の感情を伝える心理的な演出が多い。惜しむらくは4コマ漫画の定型化した窮屈なコマ割りでは画面がギチギチになって見づらいときがある。コマが小さいのでキャラクターの顔のアップを多めに描いてリアクションを際立たせるが、キャラクターによってはデザインの類似点が多く見分けがつかない点も挙げられる。

全3巻で完結と長さも手ごろ。ちょっと興味あるから読んでみようかなに丁度良い長さ。

関連記事